第一章

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「俺も何か手伝いたい」 「その気持ちだけでいい。今お前がすべきなのは、未来の王を守ることだ」  エルヴィスは俺の腹部を見下ろし、口元を緩ませた。 「この子を誰より近くで守れるのはお前だけ。他の仲間は俺が守るから、安心しろ」 「・・・・・・分かったよ」  納得しきっていないが、我が子を守るのが役目だと言われてしまうと、頷かざるを得ない。  エルヴィスの胸に額を押しつけて膨れ面をすると、お腹の中の子がころんころんと転がった。  慰められているようで、俺の中のもやもやとした気分が、少しだけ軽くなった。 ***  エルヴィスに抱えられて屋敷に戻ると、玄関ホールでイザークが放心状態で待っていた。  俺に気づくや否や、猛然と立ち上がって駆け寄ってきた。 「殿下ああああ!」 「ただいま、イザーク」 「ただいま、じゃないですよ! どこほっつき歩いていたんですか!」  軽く抱きついてきたイザークの頭を撫でていると、頭上から小さなうなり声が聞こえた。  深々と眉間にしわを寄せ、目をすがめたエルヴィスが俺たちを見下ろしていた。 「イザーク、いつまでライアンを殿下と呼ぶつもりだ。この子はもう陛下だぞ」 「お黙りください。何百年経とうと、私にとって殿下は殿下なのです!」 「・・・・・・別にかまわんが、一つ忘れているぞ」  不意に肩を抱き寄せられたかと思うと、エルヴィスは俺の顎を指先で持ち上げた。
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