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『ライアン様に置かれましては、此度の国王就任、このムグリ心からーー』
「祝いの言葉は会ったときに聞くよ。それより、俺に急いで伝えなきゃならない事って、何だ?」
『それがですねえ、どうやら聖騎士団が良からぬ動きをしているんですよ』
「良からぬ動き? どんな?」
『あの男ーーマースがガルダ湖へ向かっているようです』
「なんだって?」
まさか、俺がガルダ湖へ向かっているのに気づいた?
「俺が向かっていることを、マースは知っているのか?」
『そこまでは弟子等も知らんようです。もしかすると、マースもガルダ湖に何か用があるやも知れませんのう』
このタイミングでマースが動くのはおかしい。それも同じ場所へ向かっている。
なぜだ?
『とりあえず、はようわしの所へおいで下され。そろそろフィレンツェに着く頃でしょう?』
「ああ。お前がいるのはコルトーナで合っているか?」
『ええ、その通りです。ですがここへ来るには、フィレンツェで下車し、コルトーナの最寄り駅を通る別の列車に乗り換えねばなりません』
コルトーナの最寄り駅は、カムーチャ・コルトーナという駅だ。フィレンツェから国鉄を使用して、だいたい一時間半程度。
そう対して苦になる時間ではないが、一時間に一本しか通っていない。
乗り損ねると面倒なのだ。
「今は昼の二時だし、そっちへ着くのは夕方になるだろうな」
『お気をつけて。フィレンツェには聖騎士団の駐屯基地があります。見つからないよう・・・・・・』
「ああ、分かってる」
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