第二章

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『ライアン様に置かれましては、此度(こたび)の国王就任、このムグリ心からーー』 「祝いの言葉は会ったときに聞くよ。それより、俺に急いで伝えなきゃならない事って、何だ?」 『それがですねえ、どうやら聖騎士団が良からぬ動きをしているんですよ』 「良からぬ動き? どんな?」 『あの男ーーマースがガルダ湖へ向かっているようです』 「なんだって?」  まさか、俺がガルダ湖へ向かっているのに気づいた? 「俺が向かっていることを、マースは知っているのか?」 『そこまでは弟子等も知らんようです。もしかすると、マースもガルダ湖に何か用があるやも知れませんのう』  このタイミングでマースが動くのはおかしい。それも同じ場所へ向かっている。  なぜだ? 『とりあえず、はようわしの所へおいで下され。そろそろフィレンツェに着く頃でしょう?』 「ああ。お前がいるのはコルトーナで合っているか?」 『ええ、その通りです。ですがここへ来るには、フィレンツェで下車し、コルトーナの最寄り駅を通る別の列車に乗り換えねばなりません』  コルトーナの最寄り駅は、カムーチャ・コルトーナという駅だ。フィレンツェから国鉄を使用して、だいたい一時間半程度。  そう対して苦になる時間ではないが、一時間に一本しか通っていない。  乗り損ねると面倒なのだ。 「今は昼の二時だし、そっちへ着くのは夕方になるだろうな」 『お気をつけて。フィレンツェには聖騎士団の駐屯基地があります。見つからないよう・・・・・・』 「ああ、分かってる」
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