第二章

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 するとイザークは殺気をまとい、ルーカスに牙をむく。 「貴様がマースに情報を流したのだろう!?」 「するわけないだろ。お前たちに武器も通信機も、何もかも取り上げられたんだから!」 「体に何か仕込んであるんじゃーー!」 「よさないか、イザーク。何も証拠はないのに」  俺はイザークの肩をつかんでルーカスから遠ざけた。 「フィレンツェに着いたら、まずメディチ家礼拝堂に行って、もう一人の仲間と合流するからな」 「もう一人?」  イザークは小首を傾げた。 「私はそんな話知りませんが・・・・・・」 「ムグリが、護衛がお前一人だと知って勝手に用意したらしい。知人とか行ってたけど、ムグリの知り合いじゃあろくな奴じゃなさそうだ」  ムグリは、少し思考が周囲とずれている。  誰も考えつかないことを行ったり、それこそ少年時代の俺には修行と称して様々ないたずらを仕掛けてきた。  彼に武術の指南を願った弟子達も、それに振り回されていたっけ。 「頼むから目立たない奴にしてほしいな・・・・・・」 「それは同感です。あのクソジジイ並の変人が来たら、即殺します」  ちなみに、イザークもムグリに武術を習っていた、弟子の一人だ。  彼もなかなかユニークな修行を強いられ、よく俺の所に来て泣いていた。  それを思い出しているのか、イザークの顔はこの一瞬で疲労の色が濃くなっていた。  黙って肩を叩いて眷属を労っていると、車内アナウンスが、フィレンツェ到着を告げた。 「それじゃ、行こうか」  イザークから上着とハットを受け取り、俺は乗降口へ向かった。
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