第二章

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 彼が指し示す方へ視線を向けると、満面の笑みを浮かべてマースへ駆け寄る、ルーカスとうり二つの青年がいた。  替えが利くという言葉を聞いたときから、こうなるだろうと、少し予想はしていた。  だが、その現実を目にしたルーカスが、どれほどの衝撃を受けるのかは、分からなかった。  マースに微笑みかけられ、「ルーカス」と呼ばれるあの青年を、ルーカスはどんな気持ちで見ているのだろう。  自分に向けられていた笑みが、自分の後釜に座った者へ向けられている事に、どんな気持ちを抱いているのだろう。  想像することしかできないが、今は、 「ルーカス」  彼の手をとり、強く引く。  建物の影に移動すると、マース達が見えないよう、彼の頭を俺の肩へ抱き寄せた。  掛ける言葉も見つからず、ただ彼の視界を塞いだ。  彼はおとなしく俺の肩に額を押しつけていたが、体の震えは止まらない。  こんな時、お前ならどうした? エルヴィス。 「・・・・・・落ち込んでいるところ悪いんですけど」  俺が必死に考えているというのに、イザークがぶすっと頬を膨らませて言った。 「いい歳をした大人が、こんな公衆面前で抱き合わないで下さい」 「お前・・・・・・」 「今車から降りた男・・・・・・何者か知っていますか」  俺の言葉は無視して、イザークはルーカスに訊ねた。  イザークが顎で示したのは、マースに向かって恭しく頭を下げる、白髪の男だ。  俺の肩からゆっくり顔を上げ、ルーカスもその男を見た。 「・・・・・・ダルス・ウェスカー。一度だけ、本部で紹介されたことがある」
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