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駅前の為通行人が多く、ダルスは思うように進めないようだった。
その隙に、俺達三人は三階立ての建物の屋上に向かって跳躍した。
眼下では人間達がカメラを構え、俺達に向けている。
その群をかき分け、ダルスがすぐ下にやってきた。
「そこを動くな、ヴァンパイア!」
そう言われるが、おとなしく止まっている俺達ではない。
俺はルーカスの腕を掴み、走り出す。
だが、すぐ横にいたイザークが急に座り込んでしまった。
額には脂汗が滲んでいる。
「大丈夫か!?」
「すみません・・・・・・平気です」
とても平気には見えなかった。
確実に日光によって体力を削られている。
俺はトランクをルーカスに渡し、イザークを俵のように肩に担ぎ上げた。
「殿下!?」
「少しの間我慢してくれ」
「眷属が主に守られるなんて、そんな恥曝しな事ーー!」
「今はお前の体裁なんてかまってられないんだよ!」
ダルスが間近に迫っている。
すぐそこにはマースもいる。
今二人に襲撃されたら、さすがに勝てる自信がない。
この様子ではイザークは戦えない。
ルーカスも、自分と同じ顔を持つ青年を見てから、動きが鈍い。・・・・・・それ以前に、彼は俺の味方であってくれるのだろうか。
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