第二章

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「そもそも、団長に捨てられた時から、俺は死んでいたんだ。今殺されたって変わらない」 「何を馬鹿なことをーー」  そう言っている最中に、再びダルスが拳を振り上げ、近づいてくる。  ルーカスは座ったまま動かない。  俺は素手でダルスの手首を掴み、彼の攻撃の流れを利用して後方へ受け流した。  まともに受ければ、力負けするのは俺だ。 「泣き言は後で聞いてやる。今はイザークを連れて、ここを離れてくれ」 「逃げてどうなる? 俺はもう殺処分されるんだ。生きる意味もない。お前に守られたって、何も残らないじゃないか!」 「ーーじゃあ、死ねばよろしいのではありませんか?」  不意に、押しつぶしたような低い声で、イザークが言った。  ルーカスの腕からもがくようにして這いだすと、滴る汗を拭いながら、言った。 「あなたが死のうが生きようが、我々には関係ありません。死にたいなら死になさい」 「おい、イザークーー」 「ですが、我が殿下を巻き込まないで頂きたい。あなたを守るために、主君が傷つくのを許すわけには参りません」  俺の前に進み出ながら、イザークは右手を剣のように変形させた。 「私はこの方を守るためなら死ねます。でも、戦わずに諦めて死ぬことは、絶対にあり得ない。もがき苦しみ、必死に生にすがりついている者に失礼です」 「・・・・・・」 「全て持論です。死にたいなら、ご勝手に」  氷のように冷め切ったまなざしをルーカスに向けた後、イザークは俺にすがるように目を細めた。
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