第二章

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 木造で、天井から草の束が吊されている。  ハーブか何かだろう。  部屋の隅には薪が積まれている。  中央にはローテーブルとベンチのような椅子が向かい合うように置かれていた。 「どうぞ、お座り下さい。今お飲物をご用意いたします」  そう言って、ムグリは冷蔵庫を開けた。  中には輸血パックがみっちりと詰め込まれていた。  そこから五つ引っ張り出すと、マグカップに中身を注ぎ、俺たちの前に置いてくれた。 「さあ、どうぞ。ーーおや?」  ムグリは首を傾げ、瞳を輝かせた。  彼の視線の先にいるのは、イザークだ。  俺の血の効果が切れて、今は眠っている。  貧血のせいで顔は青白く、生気がなかった。  イザークを抱えていたレオナルドは、室内を闊歩すると、断りもなくベッド(恐らくムグリのものだろう)に彼を横たえた。 「のんきに寝やがって。おやっさん、後でこいつにも血を飲ませてやってくれ」 「イザークめ、なんともふがいない姿よの。陛下をお守りするべきものが、一人寝込むなど・・・・・・」  そうは言っているが、イザークを見るムグリの目は優しい。  そっと弟子の頭を撫でると、今度は俺の後ろで縮こまっているルーカスに、遠慮なく好奇の視線を向けた。 「ほっほう! ぬしがマースのアホから陛下に鞍替えしたという、不思議なヴァンパイアじゃな!?」 「俺はヴァンパイアじゃない」 「何をぬかすか。その目に気配、少し異物も混じっておるが、ヴァンパイアに違いない!」  俺でさえルーカスの招待には未だ疑問だらけだというのに、この老人はこうもはっきりと言い切ってしまう。  見た目では計り知れぬほど博識で、かつ少年のような好奇心にあふれた男だ。
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