第二章

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 まだ心に何かつっかえていて、彼に対して素直な気持ちになれない部分はある。  子供のように拗ねたままだが、レオナルドが戦力に加われば、ヴァンパイアの防御もいっそう強固になる。  もともと無益な殺生を好まないだけであって、レオナルドの戦闘力はずば抜けているのだ。  返事を求めて、ちらりと視線を送ると、 「なに改まって頼んでんだ。最初から力を貸すつもりに決まってんだろ」  絵描きにしては筋肉質な腕が持ち上がり、俺の頭を掴むように撫で回した。 「さて、坊からお願いされたことだし、俺は準備をするとしようかな。  おやっさん、"あれ"出しといて」 「よかろう。ーーさ、陛下は奥の部屋でお休み下され。疲れがたまっておられるご様子じゃ」  確かに、気を張りつめていたせいか、少し眠気がある。  ムグリの言葉に甘え、イザークの寝かされている部屋で、横になった。  明日は資金援助を申し出てくれた人間と会い、それからミラノへ向かおう。  一刻も早く、エルヴィスを助ける方法を見つけなくては。  それから、俺と彼の子供の奪還。  やるべき事がたくさんある。  段取りを考えていると、少しずつ瞼が下がってきて、俺はいつの間にか眠り込んでいた。
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