第二章

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 父王ですら、母には怒鳴れない。  心底惚れ込んでいた。  母がどれほど大がかりないたずらをしようと、いつも「仕方のない奴だな」と笑っていた。  それほどまでに愛していた母が永眠した日から、父は冷淡になってしまった。  光そのものだった母が消え、父の世界は真っ暗になってしまったことだろう。  仲睦まじく寄り添っていた両親の姿を思い出すと、どうしようもなくエルヴィスに会いたくてたまらなくなる。  彼は今どうなっているのだろう。  石化が止まっていてくれたらーーいや、石化が解けてくれたらどれほど嬉しいことか。 「エルヴィス・・・・・・」  つい愛しい人の名が唇から漏れ、俺は慌てて口元を手で隠した。  横目でレオナルドの様子を伺うと、彼は不機嫌そうに唇を尖らせていた。 「そういえば、あの馬鹿はどうした? 昔からお前にひっつき虫だったのに」 「彼は・・・・・・」  今一番俺を苦しめている、愛する人を苛む謎の事象。  言葉に使えながらも話そうとすると、もう一つのベッドからうめき声が聞こえた。 「う・・・・・・」 「イザーク!」 「殿下・・・・・・?」  薄目で俺を見つめ、イザークはふわりと微笑んだ。  上体を起こそうとする彼に近寄り、背中を支えた。 「体は大丈夫か?」 「はい。ご心配をおかけして申し訳ありません」 「気にするな」
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