16人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、事が起こったのは、連休を目前にした金曜日の昼頃。
整理しきれない気持ちがパンク寸前まで達し、
それは、ずっと振り回され続けた私の体の悲鳴となって現れた。
実際、この時の私は、
いったい自分が、いま何をしているのかも分からない程、ぼんやりとしていた。
そして、何を思い付いたのか。
不意に自席を立ち上がり、溜息をついたところまでは憶えている。
だが、それと同時に目の前がにわかに暗くなり、物音が遠くなったように思えた。
そして、
「豊田さん!」
どこか遠くから、誰かが私を呼んでいる。
しかも、一人ではなく何人もの声。
「おい、大丈夫か」
「誰か、毛布持ってきて」
なんか、自分の上の方で飛び交う声が段々と近くなり、
それに伴い視界も開けてきた。
あれ? なんだ、これ?
それで気付いてみると、課長も福澤も他の同僚たちの顔も
みんな私を上から覗き込んでいる。
その慌てぶりで、ようやく私にも状況が掴めてきた。
最初のコメントを投稿しよう!