10 現実逃避

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私、倒れたってこと、よね……? そして、なんとか起き上がろうとすると、 すぐ隣にしゃがんでいた先輩女性が支えてくれる。 「無理しないで。ゆっくりね」 すみません。 私を抱き起してくれた先輩女性に頭を下げると、柔らかく微笑まれる。 「貧血だと思うけど、寝不足? まさか、ダイエットじゃないよね」 そう言われて、ふと気付いた。 思えば、先輩への片想いを自覚してからというもの、 どうにも起伏が激しくなった情緒のせいで、 睡眠も食事もどこか上の空で、疎かにすらなっていたかもしれない。 それに加えて、今週は週末からの諸々で 益々、気持ちの揺れは激しくなり、眠れず 悶々と考えているのか、悪夢を見続けているのかの判断もつかなかったほど。 そして恐らく、私の見た目は、自分で思うよりもひどかったのだろう。 課長に、きっぱりと言われた。 「ちょうど連休に入るんだし、もう帰れ。 それで、たまには実家にでも帰って、ゆっくりしてこい」
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