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だが、それが呼び水になり、パンクしそうだった気持ちが一気に騒ぎ出して
涙は止まらなくなってしまった。
私は、まばらな人目を避けるようにして立ち上がると、ドアの前に立った。
まだ、たっぷりと降り注ぐ日差しの下で、
見慣れた車窓の景色が、どんどん流れていく。
それを、ぼんやり眺めてみれば、
いつの間にか日差しも柔らかくなり、少し秋めいてきている。
もう、夏は終わりなんだな。
先輩と、思いがけない再会をした夏。
大きく一人前へと、チャレンジできた夏。
そして、それをたくさん応援してくれた先輩と過ごした夏の週末。
だが、去りゆく季節と共に、その何もかもが終わってしまうのだろう。
そして、また一筋ながれてきた涙をそっと指先で拭い、私は胸の内で呟いた。
疲れたな。なんか、ちょっとだけ現実から逃げ出したい――。
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