9 シュラシュラ・ばあ(続き)

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だが、口を突いて、たまたま出た方便の嘘だ。 もちろん、私に答えようなどある訳もない。 すると、視線を落とし沈黙している私の頭上に、 福澤の静かな声が更に聞いてきた。 「じゃあ、彼に彼女がいるっていうのは知ってたの?」 その問いに、私は、先輩の誤解を解こうと咄嗟に視線を上げた。 「本当に、二股とかじゃないんです。 先輩は、色々事情があって彼女さんとは続けられないって この週末にも、ケジメをつけるつもりで……」 ねぇ、豊田さん。 私の言葉尻に重なるように言った福澤が、短く言葉を切る。 そして、少しの躊躇いの後で静かに言った。 「あのさ、今回の企画だけど。もしかして、あの先輩にアドバイスもらった?」 「えっ……?」 唐突な話題の変化に、私は一瞬、言葉に詰まった。 だがそれを、彼は図星と勘違いしたらしい。 「豊田さん。ちゃんと彼から好きって言われた?」 「それは……」 言い淀んだ私の言葉の後に、小さく沈黙が挟まれる。
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