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襟元を正し、整えたネクタイを三つの星が並んだゴールドのネクタイピンで留め直した。 「俺だったら速攻でだれかに頼るだろうぜ。便利屋だったり、知り合いだったり、お前だったりにな」 投げ込まれたものを見つめるような間のあと、井戸川は掠れる声で言う。 「……ガキのころからテメェの面倒に巻き込まれてきたけど、あれはもしかして頼って来てたってことだったんじゃねーだろうな」 「それ以外のなんだと思ってたんだよ」 「マジかよ」 強張った表情のまま、ぎこちなく口元がほころんだ。肩から力が抜けて行く。 井戸川をがんじがらめにしていた緊張がほろりと緩んでいった。 そして息をつくようにつぶやいた。 「……助けてくれ、犬養」 「まかせとけ」 犬養はソファを引き起こしながら即答した。 その口元には笑みが浮かんでいる。幼馴染の存在が彼の瞳に特別な火を燃え上がらせる。職務への矜持、まだ見ぬ敵への怒り、さまざまな感情を内包し、その目は鋭く輝いていた。 受付カウンターに肘をつき、様子を見守っていた牛尾がやわらかく息をついた。 和もカウンター内の席に落ち着いた。いつでも飛び出せるように待機していたが、業務に戻る。 申谷は牛尾からの目配せを受け、ふたりのもとへと向かった。 「話はまとまりそうか」 「待たせたな。方向性は決まったぜ」
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