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亜子が結界を張り館に閉じこもっている間に、朝霧は桜館に着こうと足を動かす。 しかし、その朝霧に追っ手が近づいて来ていた。 亜子が飛ばした人形は、朝霧とそっくりの姿になると追っ手を引きつける為に朝霧から離れた。 しかし、朝霧は後少しで平安京に辿り着く所で敵に追いつかれた。 背中から切られ、それでも朝霧は必死に桜館へと向かう。 桜館へ…。 この文を届けなければま…亜子様のお命が…。 朝霧の思いが、桜館へと飛ぶ。 肉体を、道に残し。 朝霧の魂は桜館へと向かい、その門の前で結界に阻まれ漂った。 「おいで…迷える魂のお前は、何を大事に抱え込んでいるの?」 朝霧の魂は、その安らかな清らかな気に導かれ桜館の中へと導かれた。 魂となった朝霧は使命を果たし、声の人へ文の事を伝えると、すっと消えた。 桜館から捜索に何人か出されたが、朝霧の遺体も文も見つからなかった。 朝霧の命懸けの行為をもってしても、亜子の願いは伝わらなかった。 その夜から亜子の消息は途絶えた。
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