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たま子はショーツを脱いだ。 こたろうは関心あり気に体毛の濃い部分に視線をやる。たま子は気恥ずかしさを覚える。見られることに対してではない。こたろうが見たことに対してだ。 この十年、お互いに性を意識していないように接してきた。どこかの時点でそれぞれ男と女に成長を始めたはずだが、一貫して、男女よりも幼馴染あるいは姉弟の関係を続けてきた。 たま子にとって、こたろうは「美少年」という、ある種、幻想の生き物でもあった。それが性欲を持つなんて、あまつさえ吉乃のような美少女ではなく、自分にもその眼差しを向けるなんて――。 こたろうの隠していた内面に触れてしまった背徳感と同時に、軽い失望を覚える。けっきょく女の体なら何でもいいんだろう。崇高な精神も何もない、ただの男――。 勝手に抱き続けていた幻想が壊れて、勝手に落ち込む。 シャワーが肩に当たり、豊かな乳房の谷間を流れる。 正面に立ったこたろうは、どこか愛しそうな表情でそれを眺めた。たま子はなんとなく手で隠す。他人にはよく「首から下は美人」と褒められるが、全体のバランスが悪い気がして、大きな胸が好きではなかった。 こたろうがボディソープを手に取った。両手で泡立てると、たま子の脇の下に手を入れるなり、大きな胸の先端に向かって両側からすくうように滑らした。 「おい!」 たま子が可愛くない悲鳴を上げる。こたろうが軽く引く。     
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