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「勉学は順調か」
「うん、楽しいよ」
少女が笑顔を向ける。微笑み返して、ノースリーブのワンピースから出た滑らかな肩をなでる。
「プログラミングはできるようになったか」
「うーん、今こたろうちゃんに教わってるとこ」
少女は軽いはにかみを浮かべた。たま子は少女の細くやわらかな二の腕をなでる。
「鉄棒はできるようになったか」
「うん、おねえちゃんに教わったとおりにやったらできたの」
「そうか」
たま子は少女の黒髪をすくって、うなじに軽く触れた。襟ぐりまで露出した部分の肌をそっと指でなぞる。
「今週の読書は何を読んでいるんだ?」
聞きながら背中のファスナーに指を這わせる。もう片方の手がさりげなく背中から腰に移動する。そのままなで下ろ――そうとした手首をこたろうに掴まれた。
『ヘンタイ』
こたろうが唇の動きで告げる。たま子は小さく二三度頷いた。
「靴のほうはどう? 卒業までに間に合いそう?」
花壇脇の低い壁に腰かけて吉乃が聞く。隣に座って答える。
「ああ、鋭意制作中だ。このあいだ取った型から――」
言いかけたところで、吉乃がキャハハハと笑った。
「型ねー。取ったねー」
再びおかしそうに笑う。たま子は少し照れた。
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