re:スタート

7/19
352人が本棚に入れています
本棚に追加
/159ページ
*** 「日阪くん背高いね、どれくらいあるの?」 「運動好き? バスケ部とかどう?」 「指細くて器用そうだし、美術部もおすすめだよ」 「いいなー、俺も黒縁のメガネにしようかな」 前言撤回。 なんでもするとか、やっぱり綺麗事だ。 1限を終えて教師が出て言った途端、蟻みたいにわらわら集まり出したクラスメイトの、好奇心という名の拷問に喉がひきつる。 1人ずつならまだしも、なんで一度に話しかけてくるんだ。 「あー、その、運動は苦手だし、手先も全然器用じゃなくて……。せっかく誘ってくれたのに、ごめん」 「マジで? 全然そんな風に見えねー」 「えー、じゃあ何が出来るの?」 退屈そうに髪を弄りながら、女子が1人口を尖らせる。 怖がりで弱っちい俺の性格が舌打ちを飲み込ませ、彼らの言う通り、唯一マシだと言えることを探し始めた。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!