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「日阪くん背高いね、どれくらいあるの?」
「運動好き? バスケ部とかどう?」
「指細くて器用そうだし、美術部もおすすめだよ」
「いいなー、俺も黒縁のメガネにしようかな」
前言撤回。
なんでもするとか、やっぱり綺麗事だ。
1限を終えて教師が出て言った途端、蟻みたいにわらわら集まり出したクラスメイトの、好奇心という名の拷問に喉がひきつる。
1人ずつならまだしも、なんで一度に話しかけてくるんだ。
「あー、その、運動は苦手だし、手先も全然器用じゃなくて……。せっかく誘ってくれたのに、ごめん」
「マジで? 全然そんな風に見えねー」
「えー、じゃあ何が出来るの?」
退屈そうに髪を弄りながら、女子が1人口を尖らせる。
怖がりで弱っちい俺の性格が舌打ちを飲み込ませ、彼らの言う通り、唯一マシだと言えることを探し始めた。
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