鏡よ、鏡

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「本当に。麗香さんって、バッカよねぇ~。誰もが羨望の眼差しを向ける、その生まれ持った容姿や才能。それを、ぜぇぇぇぇんぶ自分の手で壊してしまうんだもん」 「え?」  目の前の女の言う事が理解出来ない麗香は、眉間に小さな皺を寄せた。 「アッハッハッハ! 私ねぇ。麗香さんの事、大っ嫌いだったの。あなたは知らないでしょうけど、私、小さい頃って、ダサくてデブで。冴えない子でさ。そのせいで虐めにあったりしてて。いつか、そいつらを見返してやるって思って、ダイエットや美容に関して、死にもの狂いで努力したわ。それから、学校に内緒でバイトして。プチ整形までして。プロダクションのオーディションに合格した時は、本当に嬉しかった」  当時を懐かしむかのような表情で、フゥッと小さく息を吐く白雪に、麗香は驚いたような眼差しを向けた。 「白雪さんも、整形していたのね……」 その言葉に対し白雪は、キッと麗香を睨んだが、すぐさま、フンッと鼻を鳴らし、再び口を開いた。 「でも。この業界に入った途端、周りから言われるのは、いつも【第二の美輪 麗香】という代名詞。初めの頃は、国民的正統派美人女優の後継者と言われている事に誇りを持っていたわ。でも、私とあなたとでは、決定的に違っていた」  憎悪を含んだ瞳で麗香を見据えながら淡々と話す彼女に、背筋がゾクリとするのを感じながらも、その視線を逸らす事が出来ないでいると、クッと白雪は嫌な笑みを漏らした。
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