鏡よ、鏡

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 いきなり童話の話をふられ、戸惑いながらも、「継母に命を狙われて、森に逃げ込んだ白雪を、王妃の魔の手から助ける為に、一緒に暮らしていたんじゃなかったかしら?」と、うろ覚えな内容を答えれば、「ブッブーー」と、楽しげな声を発する白雪。 「残念。不正解。正解は……小人と肉体関係を持っちゃうの。でもって、そんな関係になった白雪姫を守ってくれるって訳。さぁ! これで分かったぁ?」  例え話とはいえ、ここまであからさまな事を言えば、どんなに鈍い感覚の持ち主であっても理解出来る。  要するに。  事務所とマネージャーをも、彼女は抱き込んだのだ。  そして。  本来、自分が進むべき道であり、自分が得る事になったであろう地位は白雪に。  逆に、白雪が進めさせられようとした道を麗香が。  全てが明らかになったとしても後の祭り。  あの時、自分の容姿に。  若さに拘らず、内面に目を向けていれば……  見た目ではなく、他の部分で努力していれば……  悔しさと、情けなさで、唇と噛みしめていれば、白雪が上機嫌に鼻歌を歌いながら、楽屋を出て行こうとしていた。
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