決意

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 鳴り響く即位を告げる鐘の音を聞きながら、私は思っていた。  あ、これヤバイわ。逃げなきゃ、と。  私の名前はリーズシェラン。今はこの国の王女だけど、前世は違った。そう、前世。  何故か前世の記憶を持ったまま生まれてきた私は、とにかく目立たないように大人しく過ごした。  だってこの世界、まだ男性優位の社会だし、仮にも一国の王女が変だと知られたら、確実に軟禁か病気に見せ掛けた暗殺フラグが立つ気がして。  なにしろ私の父である国王は子沢山。四人の兄と三人の姉、そして下にも二人の弟がいる。私一人居なくなったって、どうとでもなるのだから。  そうしてひっそり暮らしていた私だけど、一つだけ、どうしても我慢出来なかったことがある。すぐ下の弟に対する酷い虐めだ。  弟の母は侍女だった。測妃ですらない。  私からすると、手を出した父が悪いのだけど、他の兄弟やその母達は、それはもう弟と彼の母を貶した。虐めに虐めて、彼の母を殺した。  正直、この時ばかりはやってらんないと思ったね。  これ以上は見過ごせない。監禁? 暗殺? 好きにしたらいいさ!  ーーと、やけになった私は一つ下の弟、アランを庇った。幸い、私は正妃の娘ではあるし、まあ、色々あったけどなんとかなった。 「ねえさま、ありがとう。ねえさま、大好き」  そう言って、本当に嬉しそうにまとわりついてくるアランにほだされたしね。ただ・・・・・・ 「さあ姉様、こちらへ」  今や
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