もうやめてん

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俺が、この田舎の街『毛八女』(もうやめ)にある支店に左遷され、一ヶ月が過ぎた。 変なオッサンしかいない、弱小支店。 本社でも優秀だった俺が、秘書に手を出して、この支店に飛ばされた。 まさか、彼女が会長の女だったなんて……。 彼女も先に言っておいてくれれば、こんな事にはならなかったのに…。 「なんだよ、元気ないじゃないか、藤田くん」 「あ……小野さん……はは……軽いホームシックみたいなものです」 「そうか、まぁ藤田くんは本社にいたからなぁ……  でも、ここの支店はノンビリしてて、いいだろう?」 「ああ……はは……そうですね…本社とは、かなり雰囲気は違いますね…  本社はいつも皆、ギスギスしてましたから」 「ダメダメ、そんなの。  人生楽しく、仕事も楽しく、そうだろ?」 「ああ……はぁ…」
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