3

3/5
109人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
 自宅で風呂を済ませた茅葺は、バスタオルで髪を拭きながら脱衣所を出た。  あれから仕事の間も、家に帰ってからも、ずっと泉のことが頭を離れない。深いため息を付いて茅葺はベッドに腰掛ける。  机の上で短く鳴ったメッセージの着信音に気付き、携帯を手に取る。  そこには《泉 光流》の名が表示されていた。  何かあった時の為にバイトだけで連絡先のグループを作ってはいたが、泉から個人的に連絡が入るのは初めてのことだった。少し不安を覚えながらメッセージを開く。  メッセージには件名も本文もなく、サイトへ続くURLだけが表示されていた。訝しみながらもゆっくりとそれを開く。  動画は突然始まり、そこには膝をついて座る泉が一人で映っていた。「なんで、録るの──?」と視線を他に外しながら不安そうに質問する泉に「録りたいから」と、答えるあの男の声がした。  茅葺は無意識に携帯を持つ手に力が入る。  映像の中の泉は普段と違い、眼鏡を掛けておらず、髪も縛られていない分、顔に長い髪が掛かり、雰囲気が違って見えた。 その泉の頭を乱暴に引き寄せ、男は「早く咥えろ」と恐ろしい台詞を吐いたのだ。     
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!