東風荘

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「お前がいつも帰ってくる時間は知ってたからな、一緒にお披露目式でもと思ってさ」 「棟梁、布とってくださーい」 バサッと掛けてあった布がとれ見えたのは、新しく増築した家。隣とかなり古さと新しさで違和感があると思ったが、うまく融合しているように見える。 今まで冬弥の寝室の前までしか無かった縁側が新しい家の方にも伸び、壁だったところと新しく出来た家の間には、小さな廊下とトイレに洗面。 部屋はふた間あり、一つは10畳ほどの洋室。 そこには今では当たり前のクローゼットがついており、濃いブラウンで統一され、壁には作り付けの本棚が壁一面につけられている。 隣の和室も8畳で、テレビに小さい冷蔵庫が置かれていて、テーブルは一枚木で作った特注だと棟梁が説明してくれた。 「一応傷とかおかしな部分があったら言ってくれ。すぐ直しに来る」 「あの、どうして隣の家と違和感がないんですか?」 「あぁ、壊す時に、いい木は使ってくれって言われててな、それで、新しいのも混ぜて母屋も補修したんだよ。だから、違和感がない!気に入ったか?」 「はい、とても!」
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