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「調子いいね」友人は羨ましそうな顔でエス氏に声をかけた。
「病院に行って死にそうな人を探して金を賭けたって高がしれてるからね。みんな同じ人に目をつけてる」エス氏はポケットから小さなノートを取り出した。
「それが噂のノートか。最近じゃそのノートに書かれたら死ぬ運命にあるって言われてるぞ。リアルデスノート」
「好きに言わせておけ」エス氏はノートをペラペラめくった。
「次は誰が死にそう? ヒントちょうだい」友人は鼻の下を伸ばしノートを覗きこむ仕草をした。
「ここだけの話だが、K君が怪しいと思ってる」エス氏はノートを伏せて見られないようにした。
「それはないだろ。まだ20代だぞ。ちゃんとした情報をくれよ」友人は呆れた表情になっていた。
「K君はもう5回も受験に失敗してるだろ。今まで何枚の不合格通知書を配達したことか。それを引き金に家庭はどん底だ。俺はそろそろかなって思っている。K君の家の前を通って様子を伺ってるんだけど、毎日が通夜みたいだ」
「もしK君が死んだら万券だな」
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