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ギャンブル町
「よっしゃ! 大穴ゲット!」
エス氏は地元が発行している新聞のお悔やみ欄を見た瞬間に、歓喜の雄叫びをあげた。
高齢化が進む町で唯一100歳を超えているY蔵さんに誰もが賭けていた。オッズが低くても、危篤説が流れてしまった以上、それが自然な流れだった。
しかしエス氏はあえて働き盛りのM男さんを狙っていたのだった。郵便物を配達した時に覇気がなく、その数日後、精神科に入っていくのを自分の目で確認したからだった。
郵便局に勤めているエス氏は、郵便物を配達しつつ、町民の情報を常にノートに書き記してきた。休みともなれば町を散策し、町民たちの井戸端会議に首を突っ込み、生の情報を拾い集めた。ネット上にある町の匿名掲示板はエス氏が立てたものである。これらのデータと経験や勘がはじき出したのがM男さんの死だったのだ。うつ病からの自殺である。
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