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屋敷のガラスが割れる音で、真壁誠一郎は目を開けた。
ベッドから身を起こし、慌てて部屋の外に飛び出した。
長い回廊状の廊下を、音のした方向へと走った。
廊下の壁には絵画が飾られてあり、画廊の様になっている。
廊下の突き当りは窓になっていて、おそらくそこが割れたのだろうと、真壁は予測していた。
案の定、そこには割れた窓と、ゴルフクラブを握りしめて佇む、祖父である真壁六雄の姿があった。
「やられた……」
月明りに照らされた祖父は、真壁を睨みつけるように言った。
真壁は何も言わず、割れた窓の外を見た。侵入者の影はどこにもなかった。
ここは2階で、下は柔らかな芝生になっている。逃げることは容易い。
「とりあえず、怪我がなくて何よりです」
真壁は祖父を見てそう言った。
「ふざけるな!!」
祖父は真壁を怒鳴りつけた。
「あれを見ろ!」
真壁は祖父が指さす先を見た。
回廊の壁に飾られていたはずの絵画が数点、消失していた。
「防犯装置も切られてやがった」
祖父はゴルフクラブを床に叩きつけて言った。
「大変なことになったぞ……」
そのことについては、真壁もよく分かっていた。
「あれは単なる絵じゃない」
「分かっています」
真壁は背筋の凍る思いで、下を向いた。
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