第2章

4/4
前へ
/24ページ
次へ
「ですが、あの幼女の心を救うことは、私1人では無理なんです」 悔しさの滲む声。 そこに、彼女の弱さを垣間見た気がした。 けれど、それはすぐさま引っ込み 「そこで、仕方なくあなたを助手に命じます。誰にでも出来ることではないので、特別に」 元通りのキツい言葉。 でも、もう不愉快には感じなかった。 一瞬だけ見えた弱さに、放っておけない気持ちになったのか。 単純に、幼女を見捨てようとした罪悪感を消したかっただけかもしれない。 いずれにせよ 「分かった」 「え?」 俺は少女を手助けすることに決めた。 「俺は高校1年、清水司。お姫様の助手になってやるよ」 「あ、う」 花が咲いた。 高慢な姫ではない、年相応の照れ笑いが見えたのも束の間 「烏羽鈴、中学2年です。お姫様扱いは悪くありませんが、急に馴れ馴れし過ぎます」 ほんのり頬を染めてそっぽを向く少女、鈴。 (あの毒舌は、素直になるのが恥ずかしいからかな) そんな予想が顔に出ていたのか。 再び鈴が放った鋭い蹴りを受け、俺は気絶した。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加