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「ですが、あの幼女の心を救うことは、私1人では無理なんです」
悔しさの滲む声。
そこに、彼女の弱さを垣間見た気がした。
けれど、それはすぐさま引っ込み
「そこで、仕方なくあなたを助手に命じます。誰にでも出来ることではないので、特別に」
元通りのキツい言葉。
でも、もう不愉快には感じなかった。
一瞬だけ見えた弱さに、放っておけない気持ちになったのか。
単純に、幼女を見捨てようとした罪悪感を消したかっただけかもしれない。
いずれにせよ
「分かった」
「え?」
俺は少女を手助けすることに決めた。
「俺は高校1年、清水司。お姫様の助手になってやるよ」
「あ、う」
花が咲いた。
高慢な姫ではない、年相応の照れ笑いが見えたのも束の間
「烏羽鈴、中学2年です。お姫様扱いは悪くありませんが、急に馴れ馴れし過ぎます」
ほんのり頬を染めてそっぽを向く少女、鈴。
(あの毒舌は、素直になるのが恥ずかしいからかな)
そんな予想が顔に出ていたのか。
再び鈴が放った鋭い蹴りを受け、俺は気絶した。
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