第3章

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「は?」 ぽかんと口を開ける鈴。 無理もないなと思う。 普通はこんなに堂々と、ストーカーを自称しない。 「本当に?」 「正真正銘の事実ですわ~」 疑わしそうに何度も俺と桃井を見比べる鈴。 育ちの良さを匂わすおっとりした雰囲気と、たわわに実った胸元。 そんな大人の色気を感じさせる桃井が、どこにでもいそうな俺のストーカーなんて、まず信じてもらえない。 「そのストーカーさんが、何のようです?」 鈴の言葉にはいつもと違う棘がある気がした。 表情もどこか固い。 「実は、清水君が忙しそうにしているから、どうしたのか調べていたのです」 「それで?」 「そうしたら、ロリコンの彼が好む少女といちゃついていると分かりましたので、邪魔をしに」 にこやかなまま、桃井はまた爆弾を投じる。 「い、いちゃついてなんていません! あなた、目がおかしいんじゃないんですか!?」 ロリコン、って所に反応しなかったことに安堵する一方で、非常に焦った様子を見せる鈴に驚く。 (何でそんなに取り乱しているんだ?) そんな姿を前にしても、桃井はあくまでマイペースに話す。 「失礼ですね~。これでも私、情報通として有名なんですよ~」形の良い眉を寄せ、わざとらしく口を尖らせる桃井。 これも見た目からは想像出来ないが、純然たる事実だった。 知りたいことがあるなら桃井に訊け、というのが俺の通う高校では常識になっている。 その知識の利用者には、高校のほぼ全ての生徒どころか、教師まで含まれているとか。 (自分のストーカーに訊きたくないから、俺は利用したことないけどな) それでも、一向に進展しない調査に痺れを切らし、明日訊いてみるかと思っていたら、この結果に。 「とりあえず、情報は信用出来るから、まだ知りたいことがあれば桃井に訊くと良いぞ」 いいよな? と、桃井に視線で確認する。 「ええ、それが清水君のお願いなら」 「むー、分かりました」 不満げに唸りながらも、鈴は素直に頷いた。 背に腹は代えられない、って所だろう。 あの幼女の幽霊を成仏させてあげたい気持ちは、俺よりも強いはずだからな。 「それではですね」
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