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「また負けたー!」
仰向けになって床に倒れ込む。
連敗だった。
「清水君、もう少し現実味のある負け方をお願いしますわ~」
(俺だって好きで負けてねーよ)
いつもと変わらない調子の桃井の言葉に、思わず憮然とする。
操ちゃんを楽しませようと、桃井が用意した1つ目の遊びはババ抜き。
で、俺は惨敗、桃井は勝率4割。
つまり、殆ど操ちゃんの勝利。
「・・・・・・」
圧勝した幼女は、申し訳無さそうに、でもほんの少し得意気にしている。
『司、弱すぎです。情けない』
暇そうにしながら、毒を吐くことは忘れない鈴。
(お前のせいで集中出来ないんだよ)
宙に浮かぶ、僅かに透けている鈴を睨む。
操ちゃんと入れ替わり、鈴は一時的に幽霊になっている。
その姿を見たり、声を聞いたり出来るのは俺だけ。
と、その時
「っ!」
「どうかしましたか~、清水君?」
「お兄さん?」
「な、何でもない」
鈴が何気なく態勢を変えた瞬間、見えてしまうことがある。
スカートの奥の神秘が。
「そ、そろそろ次のゲームにしないか?」
熱くなった顔を3人に見せまいと、下を向いて手早くトランプを片付ける。
「そうしましょ~。このまま続けても、結果は見えていますものね~?」
(ば、バレてる?)
幽霊姿の鈴が見えずとも、俺の様子からおおよそ察しがつくのか。
意味深な笑みを浮かべながら、桃井が次のゲームを用意し始める。
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