第4章

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「次は、これなんてどうでしょう~?」 部屋の隅に置かれた鞄から桃井が取り出したのは 「黒ひげ危機一髪か」 ババ抜きと同じ、説明いらずの玩具だ。 「どうかな、操ちゃん」 こくこく。 早くやりたいと言わんばかりに首を縦に振られた。 それなら、と桃井から黒ひげを受け取ろうとして (うぉっ!?) 危うく悲鳴を漏らしかけた。 『私も参加したいです』 そう言いたげな鈴の顔が、桃井の身体からぬっ、と飛び出してきていた。 (退屈なんだろうな) 仕方ない。 「なあ、2人に提案なんだけど、黒ひげに鈴も参加させちゃ駄目かな?」 『っ!』 俺の突然の提案に、鈴は驚き、他の2人は不思議そうに顔を見合わせる。 「どうやって参加してもらうんです~」 そんなの簡単。 「俺が鈴の分を刺す」 「ということは、清水君だけ一周毎に2回刺すんですか~?」 「いや、俺はやらないよ」 今の鈴が見えない2人からしたら、俺が自分で2ヶ所選んでいるようにしか見えないもんな。 「でしたら、私は構いませんよ~」 「操ちゃんは?」 「・・・・・・操も、別に」 「じゃ、そういうことで」 『わ、私はやるなんて一言も』 「ならやめとくか?」 鈴にしか聞こえない大きさで問うと、彼女は口をもごもごさせるだけ。 肯定も否定もしない。 「それじゃ、操ちゃんから時計回りに始めようか」 それを肯定とみなして、俺はゲームを開始させた。 『あ、ちょっと!』 「は~い」 こくり。 桃井が元気よく答え、操ちゃんも真剣にどこを刺すか選び始める。 『もうっ』 俺の勝手な行いに頬を膨らませながら、鈴は少し嬉しそうだった。
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