第2章

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気が付くと、俺は知らない部屋で寝ていた。 (ぐっ、鼻が焼けるようにいてぇ) 何故? 首を傾げていると、近くの扉が開いた。 「あ、目が覚めていましたか」 (この子は!) 部屋に入ってきた人物を見た瞬間、脳裏に稲妻が走った。 見る者の目を引きつけてやまない黒漆の髪! 成長過程でありながら、既に芸術品と断言出来る可憐な容姿! 「間違いない! 君は俺に鞄を投げつけた小学」 「学習能力がないんですか、あなたは?」 「つおぉぉっ」 言い終わる前に、まだ痛む鼻を蹴られ悶絶する。 (い、今、何か白い物が見えたような) 「全く、簡単に気絶してしまう軟弱さを憐れみ、仕方なく我が家で保護してあげたのですよ」 毒吐く目の前の少女は気にしていない。 いや、気付いてないのか? スカート姿で蹴りを繰り出す危険性に。 「って、今はそんなの関係ねぇ! いくら妖精のような可愛らしさがあっても、年上に何度も暴力を振るうな!」 「あら、目はそれなりにまともなようですね。その心は醜く腐っているみたいですが」 「あ、あのなぁ」 愛らしいその小さな口からどんだけ毒を吐けば気が済むんだ、コイツは! もし、変な世界への扉を開いてしまったらどうするんだ。 「さて、そんな現代人の醜さを凝縮した心を持つあなたへお願い、いえ、命令します」 本当に何様だ、この子。 衰えることのない舌鋒の鋭さに呆れてしまう。 「幽霊を見ることが出来るみたいですし、私の助手になりなさい。いいですね?」 助手? 何の? や、それよりも 「何で知ってるんだ、幽霊が見えるって」 「あれだけまじまじと視姦して、泣き出す一歩手前まで幼女の幽霊を追い詰めておきながら、そんな戯言を言いますか」 「誤解だ! 俺が見つけた時は既にあの様子で」
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