第2章

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「なら、何故助けなかったのです?」 「それはっ」 少女の単純な問いに言葉を詰まらせる。 得にならないから、なんて言える雰囲気じゃない。 「そうするだけの理由があるなら教えてください。無いならあなたは、人としての良心を欠いた最低の屑です」 屑呼ばわりに、流石にカチンときた。 「なら、お前は助けたのか!? 見ず知らずの、悪霊かもしれない幽霊を!」 我ながら情けないこと言っているなと、他人事のように思う自分がいた。 年下の女子相手に、何をムキになっているのか。 (図星を指されたからって、情けねぇ) 自己嫌悪に陥る俺とは正反対に、目の前の少女は毅然とした態度で宣言する。 「当然、助けます。その為に、私は霊媒師になったんですから」 「・・・・・・っ」 眩しかった。 同時に、きれいだった。 とても、直視していられない。 見返りを求めない人助けなんて、誰もやるわけがないと嘯いても、 もっと根っこの部分では俺だって分かっている。 困っている相手には、無条件で手を差し伸べるべきだとは。
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