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「なら、何故助けなかったのです?」
「それはっ」
少女の単純な問いに言葉を詰まらせる。
得にならないから、なんて言える雰囲気じゃない。
「そうするだけの理由があるなら教えてください。無いならあなたは、人としての良心を欠いた最低の屑です」
屑呼ばわりに、流石にカチンときた。
「なら、お前は助けたのか!? 見ず知らずの、悪霊かもしれない幽霊を!」
我ながら情けないこと言っているなと、他人事のように思う自分がいた。
年下の女子相手に、何をムキになっているのか。
(図星を指されたからって、情けねぇ)
自己嫌悪に陥る俺とは正反対に、目の前の少女は毅然とした態度で宣言する。
「当然、助けます。その為に、私は霊媒師になったんですから」
「・・・・・・っ」
眩しかった。
同時に、きれいだった。
とても、直視していられない。
見返りを求めない人助けなんて、誰もやるわけがないと嘯いても、
もっと根っこの部分では俺だって分かっている。
困っている相手には、無条件で手を差し伸べるべきだとは。
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