バベルの塔が倒れる前に

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 その日、私は学校の階段から落ちた。雑巾を置きっぱなしにした人、名乗りでなさい。  体がふわっと浮く。  それはやけにゆっくりとした時間だった。誰かの悲鳴が聞こえる。  ぱぁっと産まれてから十六年、ここまでの出来事が蘇る。これが噂の走馬灯……。  ああ、短いけれども、辛いこともあったけれども、楽しい人生でした。お父さん、お母さん、いままでありがとう。ごめんなさい。お兄ちゃん、昨日シュークリーム食べたこと、絶対に許さない。  そうして体が地面に叩き付けられた。
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