バベルの塔が倒れる前に

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 はずだった。 「起きたかえ?」  声がしてゆっくりと目を開ける。意外と体が痛くない。 「ひぃっ」  但し、目の前に白塗り厚化粧の小さな婆様がいた。なにこれ。あ、もしかしてこれ、地獄? 地獄なの?  辺りを見回す。質素な山小屋、といった印象の部屋だ。 「ローラン」  婆様が言うと、 「あ、おはようございます」  奥の方から褐色の肌の青年がやって来た。素朴、という一言に尽きる温和な笑みを浮かべて、 「どうも、こんにちは、救世主様」  意味不明なことを言った。 「はぁ?」
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