バベルの塔が倒れる前に

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 白塗りの婆様は巫女様と呼ばれているらしい。名前はないそうだ。  褐色の青年はローラン。  彼らの話をまとめるとこうだ。この世界は私がいた日本とは全く別の世界だ。俗に異世界とか呼ばれるものらしい。  この場所は、ランドー国のヴィラゴ村。ただし話を聞いている限り、村という名称でも都道府県ぐらいの扱いのようだ。  この世界では、異世界の存在は当たり前のように認識されている。お告げがあったとき、巫女に伝わる秘技を使って、異世界から救世主様を召喚するそうだ。そうすることにより、今後ふりかかる災いから身を守るらしい。 「……魔王を倒すとか?」 「いやだなぁ、魔王なんてそんなお伽噺みたいなもの、いるわけないじゃないですか」  十分、お伽噺のようなことを言ったあとでローランはそうやって愉快そうに笑った。 「こちらにはなくて、そちらの世界にはある知識などで助けてもらうんです。かつては海を渡る術を救世主様に頂きました」  ローランがにこにこ微笑んで言う。
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