27(承前)

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 テルがうんざりした調子でいう。 「おまえもかよ。あのタツオキのところでつくった薬だぞ。おれは信用できんな」  タツオもテルの簡潔な判断に一票をいれたいくらいだった。科学や技術の目新しさより、それをつくっている人間と見るというのは、立派な判断だ。  ジョージが肩をすくめていった。 「それはぼくだって『須佐乃男』からおりたとたんに老人になるのは避けたいよ。肉体への加齢作用が3分の1なら、まだ30代ですむかもしれないだろ」  ちいさく手をあげて、マルミがいいにくそうに口を開いた。 「あの、それがわたしが手をあげた理由なんだ。本土防衛戦が終わって、まだ30代なら結婚して自分の子どもをもてるかもしれない。凍結保存した卵子で誰かほかの女の人の子宮を借りたりしなくとも、自分で産めるかもしれない」
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