SATORI (聖なるもの)

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いったい どのくらいの年月が過ぎたのであろうか? ふと 洞窟の中へ 入ってきた頃を 回想している自分がいた。 そのことに気がつき 「なんだまだ自我は無くしてはいないのだな」と 心で思うと。 なにやら 楽しい気持ちが生まれたような気になった。 思考する力が戻ってきたのか? いや 単なる雑念か など考えている自分がいることに 何か違和感を感じ始めた その時。 坐禅を組んでいた両足に ピリッと 何かが 走り抜けたと 思うや いきなり、ずっーと動かしていなかった背中から 腰にかけて ズキッン! と 衝撃が走った。 「なんだこれは!!!!」 一瞬 自身の身体になにが起きたのかも 理解できなかったのだが ずきずきと痛む腰に 「おお!これは痛覚だ。痛みだ。触感が戻ってきたのか」と 今度は 折り曲げた二本の足に 神経を集中させると 両足が ぴりぴりと痺れていることに気づいた。 「やはり、触感が戻っている。これはどういうことなのだろうか?」と 頭のなかで また 思考を始めた その時 あれほど何も考えることができなかった頭で 思考をしている自分にまた驚いた。 「これは私に何かが起きつつあるのか?」 「いや、先程まで全く何も無い世界にいたのに、なぜ、またこちらがわへ戻ってきてしまったのか」 わかるはずもない疑問を考え出してる自分に、驚きつつ やはり 何かが違うと感じる自分も発見した。 「これはもしかして、夢の中の世界ではないのか?」 「いつの間にか深い深い眠りに入っていて、その世界の出来ごとなのでは?」 しかし もし夢だとしても、 先程の何も無い世界と 今の何かを感じるが実体は夢の中、空想の産物 まさに、どちらも何も無い世界に違いないのでは? と 思考を行ったり来たりしていると 頭のなかに 何かが閃いた。 「悟りとは、何も無いところから何かを感じ取ることなのではないか?」 と 閃いたこの考えが 的を得ているような気がするが これは やはり哲学的過ぎるかと 却下。 またもや自分に何が起きつつあるのか客観的にみて みようと 考えがまとまりました。 「これが悟りへの道なのかもしれない。まあいいかなんであろうと、無我の境地のさらに先へ行ったのであろう」 自分で考えることを放棄した時。
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