SATORI (聖なるもの)

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海に潜ってみた。 息が続く限り 潜ってみた。 うう 息ができない 苦しい 海面へと私は浮上した。 そして 再び海中を覗きこんでみた。 ん?あれはなんだ? 海中ではなにやら。プランクトンのような生物がキラキラ目に映ったかと思えば。 その微生物は 急激に増殖していくうちに、種類が増えて行き なんと次は小さな魚のようなものが出現。 息ができないなど気がつかぬうちに、さらなる巨大な魚類が。 どうやら自分は生命が生まれたところから急激進化を遂げていくのを目撃させられているようだ。 今度は 海から砂浜へ。 生物の上陸を開始から。そして次々に枝分かれして進化していく様子を目の当たりにしていたのであるが 次々に、恐竜、哺乳類、人類が現れた。 と思ううちに、愚かしいこの生物は同属同士で殺しあいをつづけている。 ピカッ 何かが光を放ち 空には巨大なきのこ雲が。 その時 私は覚醒したようだ 「そうか今のはやはり幻覚か、幻想か、実在しない ものだったのだな。しかしなんたる壮大なものをみたのだ」 目の前に広がる暗闇のなかで なぜか また可笑しくなり ゲラゲラ笑ってみた。 その時 暗闇だと思っていた空間に なにか光のようなものが流れて行くのを 視覚が捉えた。 「あれはなんだ?」 光だと思っていたものを 見極めようと 凝視すると それは 満天の夜空に広がる星空であった。 そして 星は 瞬いているのではなく 星は かなりの速度で近づいては 一瞬にして遠ざかって行くのを 感知したようだが これもわけがわからない。 なぜ 私は星空を高速で移動しているのだ と思考しているうちに ある星が ブラックホールに飲み込まれて行くのを見てしまった。 「星の最期か。しかしこれはいったいなんなのだ?私はなぜこんなものをみているのであろうか?」 と いくら考えても 答の出ない質問を自ら繰り返しているうちに。 私はある事に気がついた これはもしかして 生命の始まりの海 そして 星の最期 そう誕生から最期までを ほんの数分 いや もしかしたら 数秒で見ていたのかもしれない そう 私は思った。
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