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もしかしたら
これが悟りを得るということなのかも知れないなどと 思考するうちに。
私は思った
永劫である時をほんの少しの時間で垣間見た自分は
二十七年の月日を
瞑想に費やすと言うことになんの意味があったのか?
ふと思う
私は、なぜこの洞窟のなかに入り込んでから二十七年の月日という時の流れを感じることが出来たのか?
ふと思う
実は穴に入ってから、ほんの数秒しか経っていないのではないか?
が
そんなことはどうでもよくなった。
あの誕生から最期までを見られたことで。
悔いはなかった。
どれくらい時が過ぎたのであろうと。
その時
頬に 違和感あり
無意識に 片手で
パチン!
と頬を叩いてみた
手のひらには、真っ赤な血が
「蚊か。」
頬にある痒みに気がついた私は
なにやら
閃いた
「誕生から滅びまでの一瞬も、この蚊を叩き潰した一瞬も、大して変わりはなかったな」
そう思うと
時間の流れを考えても意味はないな
など考えながら
頬をぽりぽりと掻いた。
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