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物音は、まだ続いてる。連続してキシキシと。
かすかな、うめき声も。
顔を動かすわけにはいかない。
寝てるふりをしなきゃ。
だけど今、起こっていることの全てを把握したい。
由衣にあんな息づかいをさせているのは、どっち?
隣で眠ってる人間が、ふいに寝返りをうった。
それで気づく。
暗がりに浮きあがる肩のシルエットでわかった。
……わかった瞬間、泣きそうになる。
どうして?いつから?陽介と由衣がそんな関係に?
つき合ってるなんて、聞いてないのに。
陽介じゃなければいいと願ってた。
さっき意識の中で、はっきりとそう思ってた。
だって由衣は、浩平のことが好きなんだとばっかり……。
ずっとそういう態度だったはずだよね?
私が密かに陽介のこと想ってるの、由衣は気づいてたよね?
陽介だって、何となく私の好意を察してたはず。
なのに……。
だんだんと激しくなる物音。
間隔が短く早く。
私は頭がグルグルしていた。
そして想像している。
布団の中で密着し、もつれあう二人の体のこと。
由衣の表情。見つめる陽介の瞳。
それ以上、堪えきれなくなって、我慢できなくなって、いたたまれなくなって。
プツリ。心の糸が切れるのと同時に、気づけば、布団をはねのけ、部屋を飛び出してた……。
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