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ただ大人ぶった化粧と洋服で背伸びをした他の女子学生と、君だけは違うようだった。そのころの僕には女性の服装なんて母親のものしか分からなかったが、それでも違うのが分かった。たぶん輝いて見えたとかそういうのだと思う。キラキラした清潔感を漂わせる女子学生に映った。そしていつからか意識していたようで、友人との無駄話よりも自然と君を眺めるようになっていたんだ。
本当に楽しそうによく笑う子だなあ。そうと気付いたのは、今思うと君のことで夢中になっていた頃だったのだろう。
今日も会えるだろうか。期待しながら、店の扉を開いてテーブルへ目を向けると、君が座るはずの席は、おばさんたちの主婦会が催されていた。今日はいないんだなあと店をあとにする知恵もない僕は、一人で自分のテーブルへ。友人の誘いにも乗らず直行した先にはおばさま方、さも面白くなさそうにアイスコーヒーを飲んでいたと思う。淡い期待をもってのぞいてみてもやはりおばさんたちしか目に入らない。今日は来られない何か予定でもあったのか、もしくはお気に入りのテーブルが占領されてしまいそれで帰ってしまったのか、さてお尻も痛くなってきたし帰るかと姿勢を変えると、
「うるさかったよね」頭からそんな声が降ってくる。見上げるとなぜか君で、
「気を付けていたんだけど…ごめんなさい」精一杯に申し訳ないという顔で立っていた。
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