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時間は少し遡る。
「ビックシルバーウルフ、ランクBの魔物だ。ライクーは、攻撃魔法の準備。コノミはもしもの時の魔術準備。私とリーベルは近距離で攻撃を仕掛ける。」
桃色の髪色をポニーテールにし、右手に日本刀を持つ彼女はそう指示を出す。右眼には眼帯をし生々しい傷跡がある。
「攻撃魔法詠唱準備に入ります。我が詠唱において、光の球状となりたまえ。攻撃対象、ウルフ・回復対象、リーベルそしてレイラ。」
短い青色の髪をした少女は、そう言ってロッドを地面に立てた。
「ヒール&キル、光球(ライトニングボール)弾丸となれ。そして敵を打ち払え。光速となれ。そして味方を癒せ。」
この詠唱が終わるまでは完璧だった。そう終わるまでは。
リーベルと呼ばれた彼は勇者である。
黒髪の短髪に右手には聖剣を持っている。魔力は増大にあり顔は誰しもが認めるイケメンだ。
但し、性格は下衆である。
聖剣は王を口八百で騙してくすねた物で勿論使い方など分かっていない。
まず、この世界に勇者などいらないのだ。
彼が勝手に魔王を倒すと豪語しているだけである。
まず、悪逆非道の魔王が存在しない。魔国の王は比較的穏やかに過ごし、人間達との共存を望んでいる。
要するに勇者と呼ばれる彼の方がより魔王らしいのだ。
人間しかいない世界を作ると粋がる屑なのだ。
何故そのような事をしたのかと問われれば彼はまず間違いなくこう答える。
「世界の美人達を捕まえるためだよ。僕以上の人間はいないんだから。魔力も増大で強くて優しくてイケメンで性格もいい。こんな高物件なんだから誰か1人に僕を与えるのは勿体無い。そう、僕は皆のものになるのさ。なかなかいい案だろう。」と。
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