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「じゃ、ゆいちゃん頑張って逃げ切ってねー!」
「はい。遊夜も頑張って下さい」
自分を除いて最後の遊夜が体育館の裏手入り口から出ていく。
双子は見回り、高人は五分前に出ていったということで、
あと五分後に自分が出ることによって、完全にゲームスタートだ。
誰もいないことを空気で感じとり、ステージから飛び降りバスケ部員が片付け忘れたのであろう転がっていたバスケットボールをその場からゴールへとシュートする。
リングを通り音をたてバウンドするボールを眺め、ちょっと前だけどとうの昔の事かのように事を思い出していた。
もしこの状況がその時だったら、駆け寄ってくるメンバーがいて、声をかけながら肩を抱いてくるあいつがいて、一緒に笑いあって...
“運動が出来ない”なんてことも、所詮俺の演技だ。出来ないんじゃなくて、しないだけ。ただ、ちょっとの間身体を動かさないと鈍ってしまうっていう部分もあるけど。
昔のようにしたくないだけ。
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