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逃げなければ、
自分が提案したくせに一日デートなんて面倒臭いことはごめんなんだ。
どこに逃げようかと辺りを見渡すと、体育館裏の倉庫に人影がないことに気づいた。
「(ラッキー…)」
ここで終了時間まで仮眠でもとろう。
最近立て続けに悪事が重なって疲れたんだ。
理事長のことを考えながら倉庫の重たい扉を開ける。
高人は確か、あいつ…長尾の親戚と言っていたか。
それだけでも色々と避けたいってのに、さっきみたいに気づいたらそこにいることが多い。
俺が演技で素性を隠していることにも気づいてるような、掌の上で転がされているような焦燥感。
埃がかぶった体操用マットに身を投げる。
この学園じゃ人前では絶対にやらない行為に、誰も来ないことを信じて大きめのため息をついた。
もう疲れたな。
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