副会長は端麗

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ーー皆さん顔が赤いようですし、反応がないですね...固まっています。集団インフルエンザかなにかでしょうか...ですが時期が時期ですし... 「これにて入学式を終了とさせて頂きます。新入生の皆様は、先程確認していただいた各教室に移動していただきまして、説明を受けてもらいます。」 そういうと、新入生の方々がぞろぞろと体育館を退場していきました。 この後新入生の方々には教室に向かっていただき、教師、部活動、寮について等の紹介を受けてもらいます。 2、3年生は何もないので、そのまま寮に帰っていただいて、 相変わらず生徒会は仕事がありますが... ...私も先に戻らせていただきましょうか。 「高人、お疲れ様です。先に戻っていてもよろしいですか?」 「あぁ。」 「あっ、ゆいちゃんお疲れ~!僕たちもすぐに戻るから、先に戻っててもいいよ~」 「遊夜もお疲れ様でした。では、お先に失礼しますね」 私のことを“ゆいちゃん”と呼ぶのは、遊夜だけです。なんでも、結城のゆうからとったらしいです。可愛らしいネーミングで、少々私も気に入っているのですが...まぁ空と陸の方が可愛いものが似合うなど分かりきったことなんですがね。 そんなことを考えながら、赤い絨毯が敷かれた長い廊下を歩きます。 すると、生徒会親衛隊の方とすれ違いました。 「副会長様っ!お疲れ様ですっ!」 「ありがとうございます」 笑い返せば逃げるように立ち去られる恒例行事。やはり私は嫌われてるのでしょうか... この後は生徒会室に向かい、全員が揃い次第新入生歓迎会ーー新歓の打ち合わせや企画会を行います。鬼ごっこやかくれんぼなど、童心に帰ることのできる遊びも面白そうですね...提案してみましょうか。 そう思い、いつの間にか着いた生徒会室の重たい扉を開けます。誰もいないその部屋は、窓も閉まり換気ができていない状態で、少し蒸し暑さを感じました。 高人が文句を言う前に換気しておきましょう... その前に、やらなくてはいけないことがあります。 ーー大したことではないのですが、実は皆さんに黙っていたことがあります。 ふかふかのソファで休みたいのは山々ですが、その前に向かうはシャワールーム。 扉を開け入ると、振り返りもせずそのまま後ろ向きでドアを閉めます。
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