ヘンリの戦い

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 瓦礫に覆われた道路をヘンリは歩いていた。  日焼けした肌にボロボロのシャツと擦れたズボンと汚れた靴の格好で筋肉がそこそこ付いているものの貧しそうな男だった。  だがそんな格好を彼は気にする必要はない。  何故ならこの町には彼以外に人間がいなかったからだ。  高層ビルや並ぶ建物…全てボロボロに破壊されて窓ガラスは割れたままだった。  ビルは上から半分が折れる様に崩れたものもあれば、無機質にそびえ立ったままのもある。  それがこの町の姿だ。誰もいない。風で物音がする程度の静けさに包まれた町の中をヘンリはで歩いていた。  だが彼は普通に歩いていた訳ではなく、何かに見つからないように辺りを見渡しながら中かがみの姿勢で歩いていた。  人間は彼しかいない。だが人間以外の物がいた。  ヘンリは片手にピストルを持っていた。  静寂なビルの横の路地から人影が現れた。  だがその人影は普通の人間とは違っていた。  それには頭が無かった。  よく見れば首に当たる部分に平らな機械がついていた。  その異形の生物はヘンリを見つけると銃を構えて発砲してきた。  ヘンリは道沿いの建物の陰に隠れた。  その生物がぞろぞろと路地から現れた。  ヘンリは目を閉じた。大きく息を吸った。  「1,2,3!」  小さく呟いてビルの陰から飛び出すと持っていた銃を発砲した。  発砲した弾の数発がその生き物に命中した。  その生物の体から赤い血が噴き出た。しかしその生物は受けた弾の反動でのけぞったものの姿勢をすぐに直してまた発砲した。  他の同じ形をした生物もヘンリの隠れている建物に発砲した。  着弾した箇所から壁がボロボロに崩れた。  「ちっ!今日は当たらないな」  ヘンリは舌打ちをした。銃撃戦が暫く続いた。  その生物は首がない点以外は人間の体型をしていた。  上半身は裸で下半身は金属製のブリーフと膝当てと長靴を履いていた。  「くたばれ首無し!」  ヘンリは連射した。弾がその生物の胸に命中し赤い血を流して倒れた。
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