0人が本棚に入れています
本棚に追加
ヘンリは横目に見ながら中腰で辺りを見渡して歩いた。
遠くから何かが飛んでくる金属音が聞こえた。
それは小型の無人機の編隊だった。
「なんだ」
ヘンリは近くのオフィスビルの中に入って外を見た。
大通りの車が爆発した。
無人機のエンジン音がヘンリの入ったビルの前を通り過ぎた。
ヘンリは後を追うように出た。
目の前にヘラクスが現れた。
「しまった!」
ヘラクスの拳がヘンリに振り下ろされようとした時、無人機がヘラクスに発砲した。ヘラクスはのたうち回りながらその場に倒れた。
「助けに来たのか」
ヘンリが無人機を見た時、銃口が動いた。
「まずい!」
ヘンリは急いで近くのビルに隠れた。無人機が音を立ててを連射した。
ビルの壁がボロボロに崩れた。
無人の大通りに沢山の足音が響いた。
武装したヘラクスが無人機を銃撃した。
ヘンリはその様子をビルの5階の窓から見ていた。
無人機に数発命中したがびくともせずにホバーリングしながら連射した。ヘラクス達も弾が命中して倒れてはまた起き上がった。
「何だ…この戦いは」
体中から血を流しながら立ち上がるヘラクス達の姿にヘンリは吐き気を催した。
水筒の水を飲んで気分を落ち着かせてまた窓から外の戦いの様子を見た。
ヘラクスと無人機の銃撃戦は三十分程続いて無人機は飛んでいった。ヘラクス達は武器を持って引き返した。
ヘンリはビルを出て二つ先の区画のアパートに入った。
三階の階段寄りの部屋がヘンリの住み家だ。
グシャグシャの灰色のソファにヘンリはしばらく横たわった
「あれは一体何だったんだ。無人機の実験か?」
小声で呟いてヘンリは天井を見た。天井は染みが広がっていた。
人が住まない住居は痛みが早いもので戦禍に遭わなかった建物でも壁にひびが入っていた。
「いつかこの町ごと消されるのか」
これまでと違う戦闘が起きてヘンリは不安になりながらも長い戦いの終わりを感じて安堵した。
最初のコメントを投稿しよう!