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「首無しの通路を破壊しているのか」
ヘンリは小さな家に入った。
そこはヘンリが家族と住んでいた家だった。
家族と死別してから暫くの間ヘンリは住んでいたが、いつの間にかここに来るのは遠のいていた。
外の爆発音が激しくなった。
ヘンリは家の裏口から出て細い路地を走った。
戦闘機の音と爆発音がやかましく響く中でヘンリは走った。
ヘラクスが数体現れた。
腰に差したピストルをヘンリは取り出してヘラクスの頭を狙って撃った。
撃たれたヘラクスはのけぞったが、他のヘラクスがヘンリに殴りかかってきた。ヘンリはとっさによけて駆け抜けて角を曲がった。
低いビルが並ぶオフィス街を走っていると50メートル辺り先をヘラクス達が同じ方向に走っていた。
その先の角から小型の無人機が現れた。
「まずい!」
ヘンリは道沿いの建物の柱に隠れて様子を見た。
無人機が発砲を始めた。ヘラクスは持っていた銃で応戦して無人機を撃墜した。
しかしその後に無人機が数機飛んできて一斉に連射してヘラクス達はその場に倒れた。
今まで戦ってきた憎むべき生体兵器が次々と倒されていく様子にヘンリはかすかな哀れみを抱いた。
戦車が近づいてくる音がした。ヘンリは急いで角を曲がって路地を駆けた。
「うわっ」
ヘラクスが道沿いの建物から急に現れて思わずヘンリは叫んだ。
ヘラクスはヘンリに反応せずに歩いた。
「何だこいつは」
ヘンリは後を追った。
ヘラクスがレンガ作りの建物に入った。
ヘンリも後を追って建物に入った。そこはどこかの会社の中で長い廊下を挟んで両脇に会議室があった。
ヘンリは恐る恐るヘラクスが入った会議室をのぞき込んだ。
そこにはヘラクスが数体座っていた。
ヘラクス達は手を握って円形に座っていた。
ヘンリは黙って様子を見ていた。
ヘラクスの頭の金属が青く点滅した。
部屋の壁や窓ガラスがびりびり響いて震えた。
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