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ねえ、美江。
どれほど私があなたのことを呼び捨てにしたいと思っていたか知らないでしょう。こんな関係なら、いっそのこと会わない方が身の為だって、何度あなたを嫌ったことか、知らないでしょう。
私はあなたが嫌いだったんじゃない。嫌いになろうとしたんだ。でも、今となっては馬鹿な考え方をしていたと思う。両想い同士が嫌い同士になるなんて、どれだけ愚かなのか。妄想で自分の人生を勝手に区切りつけるなんて、やっぱりすることじゃない。
あなたの兄には申し訳ないけど、私はあなたの兄と出会う前からあなたのことを知っていた。だから、兄を利用させてもらって……って言い方、しない方がいいか。一番気の毒なのが彼なのは間違いない。謝らなきゃいけない。兄と別れれば、一生美江とは再会できない。そう思ったら、偽りの自分を演じるしかなかったの。
でも、もう嘘はつけない。彼との関係にも終止符を打たなきゃいけない。
だからといって、美江のことを打ち明けるなんてできないけど、もう2人の間に壁はない。偽る必要もない。これからは私の秘密を知ったとしても、許容範囲内として受け入れて欲しい。
今までに貯めた分、ちゃんと一つ一つ吐き出していくよ。
じゃあ、ここから、もう一つの私の人生を作り出していこう。
好きです。こんな愛、許して下さい。
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